外湯めぐり 九番湯・大湯

 さて、待ちに待った九番湯だ。万病に効くという謂れで、ここで大願成就を願うため結願湯とも呼ばれている。温泉街の中心にあるがさすがに風格が違う。なお、この大湯だけは宿泊客でなくても観光協会で500円のチケットを買えば入浴できるシステムとなっており、今までの外湯とはだいぶ雰囲気も異なるのだが、幸いにも自分が訪れたときは誰もいなかった。
 誰もいなければお湯も熱いのかしらと一瞬不安になったのだが、それよりもお湯の見た目に歓喜してしまった。今まで無色透明の湯がほとんどだったものの、この大湯だけ
は完膚なきまでに土色に濁っていてすさまじい。

 天井も広く、浴槽もなかなか広々としている。源泉がそのままかけ流されている部分と、木で仕切られてやや温度が抑え目になっている部分があり、これなら観光客でも気兼ねなく入浴することができるだろう。なお、この大湯には蒸し風呂もあり、いわゆるスチームサウナなのだがこれはすこぶる熱かった。

 しかしなんというか、わざわざ熱い思いをしていろんな外湯を巡った甲斐があったとこの浴場に入って痛感した。すべての苦労が洗い流されていくというキャッチコピーそのものである。この大湯こそ、渋温泉が大切に育ててきた伝統そのもの。外湯めぐりという昔ながらの温泉入浴スタンスを大切にし、スタンプラリーというちょっと心踊る楽しみもあり、あとは外湯というものを楽しむことができれば、この渋温泉は最高のものとなるだろう。