温泉薬師

 大湯のすぐ裏手の階段を上がっていき、温泉街が見渡せる高台へ至ると温泉薬師がある。こちらに最後のスタンプがあり、手ぬぐいの最後ど真ん中にぼーんと押すと完成だ。薬師様へお参りを行い、会社でうまくいきますようにとか、文筆の腕があがりますようにとか、彼女できますようにとか、そんな願い事を唱えておいた。

 カランカランと下駄の音を鳴らせながら浴衣で歩く渋温泉の街並み。宿までのわずかな距離が妙に愛おしく感じられた。宿で着替えると駅へ向かうバスまでの時間を調整しつつチェックアウト、帰りのバスに揺られながらこういう温泉街もいいなあと感慨にふけっていた。