2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

松浦純菜シリーズ総論

○浦賀和宏著「さよなら純菜、そして不死の怪物」講談社 ○浦賀和宏著「世界でいちばん醜い子供」講談社 ○浦賀和宏著「堕ちた天使と金色の悪魔」講談社 ○浦賀和宏著「地球人類最後の事件」講談社 ○浦賀和宏著「生まれ来る子供たちのために」講談社 いやあ、予…

街並みの日本的秩序

中学生の頃から東京都心を散歩するのが好きだった。子供の頃から西欧の街並みは整然としていて、日本のはごちゃごちゃしているという印象があった。日本の無秩序な都市計画に嫌気を差すこともあったが、このごちゃごちゃ感こそが日本のアイデンティティーな…

飴村行著「粘膜蜥蜴」角川ホラー文庫

これは今年読んだ本の中で一番の面白さである。 前作の粘膜人間は単なるエログロ小説であったが、今回は様々なストーリーが錯綜し、最後に収斂し、得体の知れない感動を大いに引き寄せる大作となっている。 あっぱれとしか言いようがない。 まずはこの想像力…

浅暮三文著「カニスの血を嗣ぐ」講談社ノベルス

うーん、これは微妙。 「石の中の蜘蛛」と同様、嗅覚の異常に発達した男が謎の女を追っていく話なのだが、文章が長く、とても中だるみをするので石の中の蜘蛛ほどワクワク感がない。そしてミステリー的にもよろしくない。「石の中の蜘蛛」が良作だっただけに…

浅暮三文著「似非エルサレム記」集英社

本当、この人天才なんじゃないかと思う。 主人公は「エルサレム」。もう少し細くするなら、地上部分エルサレムを含んだ直径1キロくらいの土地。こいつがいきなり意志を持って、母なる土地を目指して移動を開始する。人間は直前の地震発令で全員逃げ出したも…

浅暮三文著「石の中の蜘蛛」集英社

メフィスト賞作家の代表作と言っても過言ではないだろう。 主人公は聴覚が異常に発達した男で、謎の女を残された音を頼りに迫っていく。 ひたすら音便りの捜査が続いていく。退屈だと感じる人もいるかもしれないが、 ミステリー的な趣味がデビュー作よりも色…

エミリー・ブロンテ著「嵐が丘」新潮文庫

かなり評判の高い作品だし、知り合いでも結構愛読書にしている人がいるのだが、僕はあまり魅力を感じなかった。これを恋愛小説として楽しむ人も多いようだけれども、特にラスト付近の恐怖感の方が色濃くて、あまり好きになれない。「もっと仲良くすればいい…