飴村行著「粘膜蜥蜴」角川ホラー文庫

これは今年読んだ本の中で一番の面白さである。
前作の粘膜人間は単なるエログロ小説であったが、今回は様々なストーリーが錯綜し、最後に収斂し、得体の知れない感動を大いに引き寄せる大作となっている。
あっぱれとしか言いようがない。
まずはこの想像力に屈服。前作よりもカオス加減は控えめになったものの、物語的魅力は最大限に引き出された。
夢野久作の再来と言っていいだろう。21世紀の変格ミステリーの一翼を担う、見事な作品の登場だ。これを読まない手はない。