浅暮三文著「石の中の蜘蛛」集英社

 メフィスト賞作家の代表作と言っても過言ではないだろう。
 主人公は聴覚が異常に発達した男で、謎の女を残された音を頼りに迫っていく。
 ひたすら音便りの捜査が続いていく。退屈だと感じる人もいるかもしれないが、
ミステリー的な趣味がデビュー作よりも色濃く出ていて、個人的には楽しめた。西澤保彦は自らの作ったSF的ルールの中でトリックを展開していくが、本作の場合はファンタジー的要素を鍵にして捜査していく感じ。今までにない異色の作品なので、変わったものが好きな方にお勧め。

石の中の蜘蛛

石の中の蜘蛛