浅暮三文著「似非エルサレム記」集英社
本当、この人天才なんじゃないかと思う。
主人公は「エルサレム」。もう少し細くするなら、地上部分エルサレムを含んだ直径1キロくらいの土地。こいつがいきなり意志を持って、母なる土地を目指して移動を開始する。人間は直前の地震発令で全員逃げ出したものの、犬が一匹取り残されてしまう。
エルサレムは三つの宗教の重要な場所なわけだから、当然関係各所で大騒動。国連を巻き込んだ大事件に発展。果たして、エルサレムの行く末は? 犬の運命は? というお話。途中、エルサレムが性欲を感じる辺りは爆笑できる。世界史とかでここらへんの地理をちゃんとやった人にはもっと楽しめると思います。
文章は理知的でうまいし、トピックも面白いし、あとはエンタメ性がもうちょっとあれば最高なんだけどなあ。
- 作者: 浅暮三文
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2003/07/25
- メディア: 単行本
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