江戸川乱歩著「続・幻影城」光文社文庫

 こよなく探偵小説を愛した江戸川乱歩渾身の一作です。東洋問わず当時の探偵小説が網羅されたすんごい本。中でも類別トリック集成は圧巻で、その当時の探偵小説に存在していたトリックを類別し、簡単に紹介したというまさにミステリーのカタログ。推理小説を書きあぐねている人なら一度は目を通すべきではないでしょうか。しかし何かと問題もあって、そうですね、オチが分かっちゃうんですよ。ほら、アクロイド殺しのオチを知らずに読むほど幸せなことないって言うじゃないですか。僕なんかは予め知ってしまったので、最早読む気も起きずという状況です。だから、一概にミステリー好きなら読めとも言えないんですよね。むしろミステリーをこよなく愛し、これからも驚き続けたいという方は、あえてこの本をスルーするという手だてもあるでしょう。
 しかし、僕なんかはカーの「皇帝のかぎ煙草入れ」を読む前に続・幻影城の方でオチを知ってしまったのですが、読んでみたら驚けました。まあ、オチを知っていても驚ける名作も世の中には沢山あります。なので、あまり気にする必要なないかと。そんなわけで、是非とも手元に一冊どうぞ。

江戸川乱歩全集 第27巻 続・幻影城 (光文社文庫)

江戸川乱歩全集 第27巻 続・幻影城 (光文社文庫)