聖夜考察

 自分は以前(小学校1年〜3年)の間、ヨーロッパの方に住んでいたのですが、クリスマスが近づくと、アドベントと言って、クリスマスまでの毎日、一日ずつ窓を開けていくカレンダーがありました。クリスマスの日まで目盛りがある蝋燭があり、毎日そこに火を灯してはその日の目盛りまで蝋が溶けるのを待ち、再び火を消して、翌日同じ事を繰り返しクリスマスを待った記憶があります。少なくとも、クリスマスとはイエスキリスト生誕の日だという認識はあったように思います。
 ごく一部を除けば、日本のクリスマスの祝い方は異常です。子供に訪ねればサンタクロースからプレゼントをもらえる日だという認識だったり、実に微妙なイルミネーションが街に増える季節だったり。日本人は結局のところ、クリスマスを儀礼ではなく消費しているだけなのでしょう。クリスマスだと言えばどんな商業戦略もまかり通るといったものです。そして国民も、安易にネズミーランドへ行こうだとか、金のことばかり気にし始めたりと、結局はパターンの消費ですよね。カップルは各々偽りのクリスマスを謳歌し、クリスマスの間特にすることのない人々はひたすらルサンチマンを溜め、性の6時間という流行語(?)が生まれましたが、元々はキリスト教を信仰する人であれば誰でも参加し、享受できる行事だったはずではないでしょうか。まず、たいていの日本人はクリスマスに参加するという意識が全くない。ただ企業が用意した空気に酔いしれているだけです。
 日本は多神教の国家です。土着の神々は八百万といます。それでも西欧文化を受容し、イエスキリストの信仰をこの時期だけ取り入れると言うのならば僕は構いません。僕もキリスト教は否定していませんし、むしろ西洋風の祝い方は趣があってとても良いと思います。しかし、それならそれなりの態度があるのではないでしょうか。日本を視察しに来たイエスキリストも、セントニコラスも一瞥しただけで絶望するクリスマスで良いのでしょうか。