レッシング著「エミーリア・ガロッティ」岩波文庫

 戯曲。出だしの書き方はすごく魅力的です。
 ただこの辺りの作品は執拗なまでに喜劇なのか悲劇なのか冒頭で明かしてしまいますが、個人的には最後まで伏せて置いて欲しいです。本を読もうとページをめくると、すぐに五幕の悲劇って書いてあるんですよ。できれば隠して置いてくれた方がラストの展開を想像できて面白いんですけどね。この辺りの文学で悲劇なら、このような結末を迎えるだろうという推測が先に立っちゃって、それが読む面白さを半減させます(半減までとはいかないか)。
 でも良く出来た作品だなとは思いました。主人公たちの哲学的な会話は結構興味深かったですし。森鴎外が「折薔薇」と訳してるんですね。

エミーリア・ガロッティ ミス・サラ・サンプソン (岩波文庫)

エミーリア・ガロッティ ミス・サラ・サンプソン (岩波文庫)