ムージル著「寄宿生テルレスの混乱」光文社新訳文庫

初めてボーイズラブ小説と銘打たれている作品を読みました。
WWI前に書かれたドイツ文学ですが。
あ、よく考えてみれば三島の「仮面の告白」が怪しいかもしれない。
読後感は、ああそういう感じなのね、という感じ。
面白かったと言うべきかつまらなかったと言うべきか非常に悩ましい。
用はドイツの男子寮でいじめが流行っていて、主人公はどちらかと言えばいじめる側なんだけど、いじめられっ子バジーニと話し合うようになり、そこにホモセクシャル的な性的衝動を見出すのです。それで主人公がひたすら葛藤するというお話。裸にされて鞭打たれるバジーニに萌えられるかが勝負なのだろうか。
ドイツ文学だから主題としては主人公の内面・深淵を探ることに終始するけど、意外といじめの具体的描写が多くて読んでいて退屈はしないんですよね。光文社新訳文庫はすらすら読める現代調の文体がコンセプトのようで。しかし個人的には岩波の格調高い文体の方が好き。なんというか、光文社新訳の方はすらすら読めちゃうから頭に入ってこない気がする。

帯のあおりはこんな感じ。

知性はどうやってサディズムに転じるのか。
耽美主義はどうやってテロに転じるのか。
無意識の大陸を発見した「第二のコロンブスムージルが、
クールに描いたボーイズラブの古典。(訳者)

試しに読んでみるのもいいかもしれませんよ。