夏目漱石著「倫敦塔」新潮文庫

 なんなんですかこれは(笑)。
 冒頭は倫敦塔についての記述がずっと続いていて、もの凄く倫敦塔が格好良く描写されているな、これは参考にするべきだなと思っていた矢先に、ストーリーはどんどん妄想話に突入。漱石著に夢十夜に匹敵するほどの暴走(?)ぶりで漱石のファンタジーワールドが展開されます。三浦しをん漱石に対し「先生ったら、超弩級のロマンティストなのね」と言ったのも頷けます。これは鬼才という他ない。文章が格好良すぎる。漱石って聞くととても真面目な文学者っていう気分になるやもしれませんが、なんかいたって狂っている気がしてしょうがないのです最近。良い意味でフレキシブルな作家なのでしょうね、もの凄く。とにかく感想は、なんなんですかこれは、でした。

倫敦塔・幻影の盾 (新潮文庫)

倫敦塔・幻影の盾 (新潮文庫)