桜庭一樹著「赤朽葉家の伝説」東京創元社

 上で紹介した幽霊刑事とは対照的に、トリックとかはどうでもいいんだけどストーリーが深くて感慨深い作品。
 富士見ミステリー文庫から出ている「GOSICK」もそうですが、桜庭一樹は歴史に強いですね。戦後の高度経済成長期から現代までの発展、そしてその犠牲となった農村部・過疎地域の歴史観記述がきちんとなされていて、ストーリーにもの凄い厚みを与えています。
 祖母が能力を得たが故に受ける悲しみだとか、グレる少女の心とか、壮大なサーガの様々なエピソードを書き出すとキリがないんですが、小説として完成度が高いです。桜庭一樹は文章はあんまり上手くないんですけど(笑)、物語は一読の価値ありだと思いますね。GOSICKライトノベルなのに内容が濃厚だったので驚いたんですけど、こちらはそれよりもずっと深みが増している気がします。心して読むべし、とでも言っておきましょうか。
 ちなみに、GOSICKは四巻がお薦めです。

赤朽葉家の伝説

赤朽葉家の伝説

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