フーケー著「水妖記」岩波文庫

 さながら児童文学のような読みやすさ。岩波文庫はもう少し小難しい印象があったものの、内容も短いですしこれなら中学生、早熟な小学生あたりも読めるかも知れません。
 漁師は亡くなった自分の子供の代わりに水の妖精をかわいがっていて(美少女かつ良い性格)、ある時漁師の元をたまたま訪れた騎士が彼女に出会います。彼女はキリスト教の洗礼を受ける際、頑なに「ウンディーネ」という洗礼名がいいと主張し、そうなりました。
 精霊は魂を持たない。人間が死んだら人々の心の中で生き続けるのに対し、彼女らが死んでしまったら全くの無に帰してしまう。けれどもウンディーネは魂を欲します。人間との間に恋愛が実れば、ウンディーネは魂を得ることができるのです。
 そしてとても悲劇的なラスト。数々の物語に影響を与えたであろう、ドイツ屈指の精霊譚です。ちょっと神秘的な気分になりたい方、是非ともご一読あれ。
 ところで、はてなダイアリーのキーワード、「ウンディーネ」にアニメ等の説明はあるもののどうして原作の説明はいっさいないんでしょうね?

水妖記―ウンディーネ (岩波文庫 赤 415-1)

水妖記―ウンディーネ (岩波文庫 赤 415-1)