スターン著「トリストラム・シャンディー(上)」岩波文庫

すんごいとんでも本。

馬鹿と天才は紙一重である。
「黙祷を捧げる」とかで2ページも真っ黒なページが続いたり、「本のページを破ってしまいたい」と真っ白なページが出てきたり、マーブリングされたページもある。どうやらこの模様がこの本の真理を表しているらしい。うひひ。そして上巻がおわったのにまだ主人公が生まれていない。腹の中にいる子供にキリスト教の洗礼はできるのだろうか。

それと翻訳者が素晴らしい。文章が非常にウィットに富んでいて、クスッと来るシーンが豊富。一箇所大笑いした。
まあ、ちょっと破格な小説を書いて何かメタ的なことをやりとげたと思いこんでいる若手orアマチュア作家はこれを読んで、1760年からこんな前衛的作品があったんだということを思い知るのは非常に有効かと思う次第ですたい。
独文専攻の某教授が「この本の面白さがわからなかったら文学部辞めた方がいい」と言い放った傑作。

トリストラム・シャンディ 上 (岩波文庫 赤 212-1)

トリストラム・シャンディ 上 (岩波文庫 赤 212-1)