SNSと感情表現

 最近、他人の感情をかいま見てしまうことが多い。僕が殊に文章の深読みが優れていると言っているのではなくて、ブログやSNSなどで文章の背後にあっさりと感情を染み込ませていろんな人に公開してしまっている状態が非常に多く見受けられる。
 うーん、どうなんだろうか?
 なんというか、最近は「やたら泣くことを賞賛する文化だ」とどこかの教授が言っていて、みんな泣きすぎだよと言っていたが、確かにそうかもしれない。たいしてうまい映画でもないのに勝手に感情移入して泣こうとする。そういった「感動症候群」という現象があるのと同時に、最近は「感情露出狂」的な側面があって、以前よりもオープンに自分の感情をさらけ出して、みんなに一定の理解を求める行動が多々見受けられる。SNSは構造的にその行為を助長している場合が多く、なんというか、注意が必要だと僕は考える。
 本当の感情は自らの心の中に仕舞っておくべきであって、安易に露出するべきではない。仮に露出したとしても、文章化したときに、それがひどく陳腐なものになってしまい、周囲からの反応も非常に薄っぺらになる危険性が高い。ゲーテ並みの文章能力がなければ自らの感情・悩みを文章化することは不可能だ。
 SNSやブログが普及してコミュニケーションツールの一端を担うようになった今、我々が最低限できることは、投稿する前に文章を落ち着いて読み直し、他人の目に触れるものだという事実をかみ砕くことだと思う。