浦賀和宏著「萩原重化学工業連続殺人事件」講談社ノベルス

 あの男が帰ってきた!
 500ページを越えるノベルス作品をたった今読み終えた。震えたぜ! 「記憶の果て」「記号を喰う魔女」「透明人間」あたりの初期浦賀作品がここに蘇った! 素晴らしい! いやー楽しかった。

 かなりぶっ飛んだ作品で、とにかくスケールがでかい。途中、ストーリーよりも哲学的な話が延々と続くので、浦賀未読者がいきなりこれを手に取ると読むのをやめてしまう可能性が高い。しかし、個人的にはかつての浦賀がパワーアップされて帰ってきたので非常に嬉しかった。
 そして本作はかなりロジックを頑張っている。以前の浦賀作品はあまりミステリーのロジックをガンガン入れることはあまりなかったけど、この作品は謎解き過程が楽しめる。


まあ、オチは予想できないけどな!

 オチだけ聞くと「アンフェアじゃねーの?」と言われそうだが、そこは浦賀である。浦賀読者ならわかってくれると思う。まあ、今回はかなり理詰め頑張っているとは思う。ぶっとんでるけど。

 感覚としては田中ロミオの「最果てのイマ」後半部っぽい感じだったかな。とにかくスケールが壮大。嫌いな人は嫌いだろうけど、これで浦賀ファンのハートは掴めるはず。

 今後もバリバリ出して欲しい。ゆくゆくは安藤直樹が戻ってくるのを期待したい。とりあえず、浦賀和宏に「おかえり」の一言を謹上したい。
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