温泉旅行記 第八章(鹿児島県) いわさきグループバス 霧島温泉郷・指宿温泉

 大分発鹿児島行きの夜行バスに乗った。サンキューパスの全九州版は夜行バスも使えるのである。夜行バスを一回でも使えば宿代が浮くから、実質一万円の中に宿代が含まれると考えて良い。すると、このチケットがどれだけお得なのかわかるだろう。
 ふと、目を覚ますと窓の外には鹿児島空港南という看板があった。ここが降りる停留所である。慌てて支度をし、バスを降りると真っ暗な中運転士が荷物を降ろしていた。どうやら朝早すぎるので放送をしないらしい。そんなわけで、客を三人ほど降ろしてバスは闇の中へ消えていった。
 さて困った。鹿児島空港南というのだから、鹿児島空港の近くであり、なおかつなにか暇を潰す場所はあるだろうと高をくくってここで降りることにしたのだが、バス停には看板があるだけである。そこには鹿児島空港まで徒歩十分、午前六時から営業と書いてある。まだ一時間以上あるではないか。笑ってしまうことに、コンビニまで一キロ、二十四時間営業の飲食店までも一キロほどある。なんだこれは。
 寝ぼけ眼をこすりながら歩いた。空港へ寄ってみたが、案の定扉は閉まっていた。空港の周辺には本当に何もない。国際線の方から国内線の端までかなり歩いた。例の看板まで戻るのは面倒だったので、手当たり次第進んでみた。三〇分歩いてようやくコンビニを発見した。用を済ませ、空港に戻るとちょうどオープンしていた。とりあえずこの荷物をロッカーに預けた。
 それから一時間後のバスに乗り、国分で一回乗り換えて霧島神宮へ行った。旅行の度に一つは大きな寺社仏閣を訪れることにしているが、今回は霧島神宮である。ニニギノ尊が天尊降臨を行った場所であり、日本発祥の地とも言える。
 参拝を済ませた後は土産を買い、寸志で入れる露天風呂に入浴した。こちらもお湯の温度がすこぶる熱かった。水を入れてなんとか入浴できた。これもなんだか森の中で入浴しているような感じで、なかなかワイルドな気分になれる。泉質もなかなか良い。
 バスで丸尾まで行った。ここで鹿児島空港へ戻るバスに乗り換えるのだが、待ち時間があったため再び公共浴場に入浴した。前田温泉カジロが湯というよくわからない名称だったが、こじんまりとした必要最低限の物はきちんと揃っている浴場だった。
 バスで鹿児島空港まで戻った。この辺りはいわさきコーポレーションが会社を買収したようである。バスの時間を調べようとしても、いわさきのホームページからうまく飛ぶことが出来ない。なんだか組織がよくわからないのだ。
 鹿児島空港からは指宿行きの空港リムジンバスに乗車した。サンキューパスでこういうのにも乗れるから素晴らしい。
 指宿では砂蒸し風呂を体験した。専用の服に着替え、まずは暖かい砂の上に横になる。すると職員の人がシャベルで砂を掛けてくれるのである。砂は予想以上に重く、暖かい。全身をじわじわと暖めてくれる。一五分ほど入ったら砂を洗い流し、通常のお風呂に入るというシステムだ。なかなか優れている。今回は宿泊先の砂蒸し風呂を利用したが、街の各地にこのような施設が点在している。
 その日はサークルで再び宴会を行った。やたら盛り上がったことは記憶している。