西澤保彦著「七回死んだ男」講談社文庫

 面白かったです。今まで何度か西澤作品は読みましたが、その中で一番面白かったですね。
 話はいわゆるループ系。主人公はある特定の日を何度も繰り返し、それの最終日が事実となり、それ以外は他人に忘れ去られるという特殊能力を持つ人です。西澤作品はこのようにSF的設定を話の冒頭に置き、それを道具として用いてトリックへ導くという特徴がありますが、大概の作品は話があまり面白くなかったのです。トリックは非常に良い出来ですが、それだけで物語性はないかと。上手くできているなと感じるだけで、感動はあまりありませんでした。
 しかし、今回は十分感動できるトリックでした。伏線の大胆さもばっちりでしたね。何よりも、導入の謎が魅力的です。久々に感動した本格ミステリーでした。
[rakuten:book:10729738:detail]