桜庭一樹著「少女七竈と七人の可愛そうな大人」

 やはり桜庭一樹はやってくれると思いました。今まで読んだ中で一番良かったです。
 ヒロインは淫乱な母親を持つ鉄道模型好きの女の子で、途中で犬がストーリーテラーになるなど、かなり設定的には興味深く、これといった事件が起こるわけではないんですけど、静謐でせつない桜庭ワールドが全開で展開されるのです。特に何の変哲もない話なんですけど、読後感にすうっとした言いしれぬ感情が襲ってきて、悲しいけどとてもすがすがしく、でも衝撃を与えられて……。例えるならGARNET CROWの曲のような雰囲気でしょうか。こういうの好きです。さすがは直木賞受賞作家。これからも頑張ってください。

少女七竈と七人の可愛そうな大人

少女七竈と七人の可愛そうな大人