ケストナー著「エーミールと探偵たち」岩波少年文庫

 ケストナーは「飛ぶ教室」でも語ったように、文章にものすごくセンスが感じられる童話作家。この作品は見ず知らずの大都会でハプニングに巻き込まれ、不安に苛まれながらも素晴らしい仲間と共に大捕物を繰り広げ、犯人を追いつめるという児童文学の真骨頂とも言える作品です。
 ちょい役にしかでてこないキャラクターもものすごく魅力的で、そのキャラ立ち具合といえば下手なキャラクター小説を優に凌ぐほどでしょう。大塚英志の本読むよりこういった作品を読んだ方が絶対にキャラクター造形法の勉強になると思います。
 そして感動的なラスト。見事に効いた伏線。脇役にもちゃんと花を持たせる親切設計。素晴らしいとしか言いようがありません。
 児童文学を嘗めてかかってはいけません。下手なケータイ小説を100冊よむより断然こっちでしょう。爽やかな読後感がきっと味わえます。

エーミールと探偵たち (岩波少年文庫 (018))

エーミールと探偵たち (岩波少年文庫 (018))