壱月龍一著「ラのべつまくなし」ガガガ文庫

 さて、やってまいりましたガガガ文庫の大収穫作品!
 ガガガ文庫は一方で絶望的につまらない作品が存在していながら、こういった超傑作も輩出してくれるレーベルです。
 読んでいる最中、先が気になって気になってしょうがなくなり、もう大興奮でした。読後感すっきり、大満足。
 主人公は純文学作家を目指しつつ、一向に売れないブンガクくん。編集者にそそのかされてライトノベルを書いてみたら爆発的にヒット。そして、彼の作品の大ファンだという女性と知り合う。しかしそいつは腐女子であり、ブンガクくんの方は二次元イラストを長時間見ていることができない二次元アレルギーだった。
 まずはキャラクターの魅力が挙げられるでしょう。主人公がいいやつだし、ヒロインもどこか憎めないキャラで、脇役も非常に良く動いてくれる。全員に対して好感の持てる作品です。
 さらに構成の巧さ。キャラ設定にも伏線が生かされていますし、恋愛ラブコメとしてちゃんとストーリーが落ちている。昨今、乙女ロードコミケ探検などといったいわゆる「おたく文化紹介ラノベ」は結構多く、この作品もまさにそうなんですけど、安易なネタに走らず、設定をうまく消化してちゃんと着地しています。かなりの良作だと言えます。
 全ての本好きに読んでもらいたい傑作といえるでしょう。

ラ・のべつまくなし (ガガガ文庫)

ラ・のべつまくなし (ガガガ文庫)