ドイツ・ビアライゼ(2−1)ニンフェンブルグ城

 ミュンヘン市内は交通機関が発達している。これはだいたいどの都市も同じなのだが、地下鉄(Uバーン)や近郊電車(Sバーン)、路面電車、バスの切符が共通となっていて、だいていの場合は一日乗車券を買うのが最もお得となる。一回のみ使う場合はミュンヘン市内一回乗車券の他、2駅間有効(トラム・バスは4駅)の短距離券もあるので、時と場合に応じて使い分けるのがベター。
 ミュンヘン市内はPasing駅から中央駅やMarienplatz駅を通ってOstbahnhof駅まで東西方向のSバーンが集中しており、主にUバーンが南北方向に走っている。切符を買ったら近くにある刻印機に切符をガチャっと通して日時を印刷する(フランクフルトにはこれがなく、買った時点で日付が刻印される)。後は目的地までどんな方法で行ってもかまわない。改札機も存在しないのだ。ただし、電車内には定期的に巡回が来るらしく、このときに正規の切符を出せないと即罰金となる。


 ニンフェンブルグ城へはミュンヘン中央駅から17番のトラムに乗ってSchloss Nymphenburg下車。川沿いに歩いていくとやがて巨大な建物が目に入ってくる。左から右まで建物がずらりと並んでいて、真ん中には巨大な水溜めがある。はっきり言ってしまえば、入口がどこなんだかわからない。しかし、この時に驚くのは早かったのだ。実は、この城の背後に控えている超巨大な森林(植物園含む)までこの城の領土だったのだ。さすがドイツ、規模が日本とまるで違う。


 入館は中央部だった。大広間のシュタイネルネ・ザールがまた圧巻である。その他、同じくミュンヘンにあるレジデンスほど広くはないが、大小さまざまの部屋が続いており、絢爛豪華な装飾が彩っていた。ルートヴィッヒ1世時代の栄華が伺える。また、ルートヴィッヒ2世が生まれた緑色の部屋もあり、王の愛人36人の絵画を全部展示した愛人の部屋というのもある。面妖な女性が36人もずらりと並んでいて、ルートヴィッヒ1世がどのようにここを鑑賞していたのか、そしてルートヴィッヒ2世はそんな国王をどう思っていたのか、いわくありげな妄想に囚われてしまう。幼少期から国王の愛人がずらりと並んだ空間を目にして育ったら、確かに新白鳥城みたいなのを作って引きこもりたくもなるかもしれない。


 本館自体の見学はそこまで時間かからなかった。しかし、ここからがすごいのである。まずは、馬車(うまや)博物館。ルートヴィッヒが作らせた数々の馬車や馬具が展示されている。特に馬具の陳列がすごい。同じものがこれでもかというほどずらりと並んでいて、もはや展示というより数の暴力である。馬車の他にも子供ようのメリーゴーラウンドがあって、その近くに付け鼻みたいなものがあったのだが、あれは何だったのだろうか。

 馬車博物館の二階は陶磁器の展示室になっていて、西洋風のものからオリエント風のものまで多数揃っている。

中でもこれは圧巻だった。これ、陶磁器でできているらしい。

 さて、次の展示場へ行こうと思い、看板を見たら「Amalienburgまで徒歩4分、Badenburgまで徒歩9分」みたいな看板が出ている。展示内容を全て見学するためには、この広大な森林を歩かないといけないのだ。観光というよりも、ジョギングや散歩のために城を歩いている人が多く見受けられる。

 時間がそんなになかったのでAmalienburgとMagdalenenklauseだけ見ることにした。Amalienburgはロココ様式の狩猟小屋であり、小屋といっても我が家の数十倍は大きいし豪華なのだけれども、そんなことより城のど真ん中で狩猟ができるということに驚いた。まあ、たしかにこんな森林の中ならなんでもでてきそうだ。中国風の装飾がある台所や銀の広間がある。


銀の広間、火災報知器を設置するのはいいのだけれども、天使の股間にしつらえるのはちょっとどうなんだろうか。

 Magdalenenklause(聖女マグダラのマリアの庵)がすごかった。瞑想のための空間らしいが、廃墟を模していて、壁に貝殻や鍾乳洞のようなものがうまっている。これはかなり興味深い。廃墟っぽい雰囲気が好きな人にはたまらないだろう。ちょっとこの写真だけでは伝わりにくいので、気になる方はこちらの公式サイトへ行ってみることをオススメしたい。http://www.lochstein.de/hrp/themen/stadt/magda/magda.htm