ドイツ・ビアライゼ(2−3)ドイツ博物館


 イザールブロイを満喫した後はSバーンで一度中央駅まで戻り、トラムに乗ってドイツ博物館へ足を運んだ。この博物館、ドイツの技術的な進歩を紹介するもので、とにかく広大なのである。どのくらい広大かというと、午後一番に行ってわりと早足で展示を見回ったのに、結局全部見ることはできなかったくらいだ。じっくり見ていると丸二日以上かかるらしい。

 最初はいきなり「石油と天然ガス」の展示から始まるあたり、非常にドイツらしい。金属、溶接とはんだ、材料実験、工作機械……と永遠に続いていく。しばらくは華やかさのない、物々しい展示が続く。やがて航空機が展示されている広場に出たり、新技術研究所という謎の部屋があったりするのだが、途中から経路がさっぱりわからなくなった。数字と順路は特に対応していないみたいなので、これは自分の興味ある場所を気の向くままに巡回するのがいいのかもしれない。
 ここは参加型の展示が豊富である。自分でボタンを押してみたり、ハンドルを思いっきり回したり、中には自分で回転台に乗ってダンベルもどきを内側へやったり外側へ出して回転の速さを実験するようなものもある。自然科学系のあらゆることを真面目に展示してあって、ドイツ博物館と関係ないような、教科書的なものも非常に多いのだが、このしたたかさこそがドイツだと思う。

 先述したSiemensだが、鉄道だけでなくドイツのインフラを支える点で大変な功績を数多く輩出し、ごつい機械類が大量に置かれていた。あと、グーテンベルグを輩出したドイツだけあって、三階の印刷術のコーナーはとても充実していた。残念だったのは、参加型展示の多くがout of orderだったことである。きっと、展示品が多すぎて修繕が追いついていないのだろう。うーむ、やむをえない気がするけれども、日本の場合は小規模ながらもこういったトラブル対応はしっかりしている。ドイツは電車の落書きもわりと放っておくことが多い。ドイツと日本のいいところを抽出すればかなりいい国になる気がするが、それぞれの悪いところをとるとちょっと悲惨な国になるかもしれない。
 三階(ドイツ風階数表示だと2階)を見終わったところでタイムアウト。閉館の時間となった。ちなみにこのドイツ博物館、分館がいくつかあって、都市交通や旅客輸送などについて展示されているのが交通センター館、航空関係はシュライスハイム航空博物館となる。ボンにも分館があり、一大ネットワークは我々の常識を凌駕している。
 なお、館内には50セント硬貨を投下すると足をマッサージする器具があった。どうやら、体重計にのるような要領で器具の上に立つと、足元からぶるぶる震えるらしい。日本製のであれば椅子に座って足をのせるのが普通なのだが、なんだかものものしい機械であった。果たして効果はあるのだろうか。まあ、あまりにも館内が広いため、その点配慮はしているのだろう。