外湯めぐり(4)四番湯・竹の湯

 自分が宿泊したホテルの目の前にある外湯である。四番目に訪れたものの、あまりにも熱すぎて一回断念したのだ。水でうめてもうめても非常に熱く、浴室に立ち尽くして呆然としながら水がじゃぼじゃぼ入っていくのを見つめていると、四人ほどの若者グループがやってきて、みんなが足を湯に浸けるだけで熱い熱いと狂気の沙汰のように泣きわめき、バイキンマンのごとくそそくさと退散していった。もっとも、彼らの気持ちも痛いほどよくわかって、源泉温度が90度を越えているのだ。今までで一番熱い。頭がおかしい。いくら水をいれてもどうしようもなかったので自分もやむなく退散した。九つの外湯を回るためにここまでやってきたのに、出鼻を挫かれて非常に憂鬱になってしまった。自分も300カ所以上の温泉を回っているという変なプライドはあるので、彼らのように「足を浸けたからまあ温泉に入ったことにしよう」とする妥協はできなかった。せめて全身は浸からないと……ああでもこのお湯に入ったら間違いなく火傷するしこの後の外湯めぐりにも支障を来す。
 このまま待ってもどうしようもないので、一時退却。手ぬぐいのスタンプは押さず仕舞いで別の外湯に向かった。