CROSS†CHANNELの山辺美希について雑文

 本当の雑文とは何だろうと考え、去年書いてみたCROSS†CHANNELのキャラクター考察です。

 僕個人が原稿を書くに当たって山辺美希を選択したのは論理的事由と言うよりも精神的要因が主なものだと自己解釈しているが、それではレジュメにならないのでなんとか重箱の隅をつついて論理的事由を模索してみると、やはりその最大要因としては当ゲームの原作者田中ロミオ氏の意図というか、哲学的かつ衒学的センス及びその真髄が最も濃縮されたキャラクターとして反映されているのが、CROSS†CHANNELに登場する他のどのキャラクターよりも彼女、山辺美希であると考えられるからであり、それはニコニコ動画にアップされている田中ロミオ自身が作ったCROSS†CHANNELの体験版、というよりかは「ひぐらしのなく頃に」のお疲れ様会的なノリで進行する山辺美希との対話、ハーマイオニーと本編で言ったら潰されるだとか、東鳩、鍵作品などのオマージュ、鯛焼きだかうぐぅだかといった台詞の氾濫などが渾然一体となって繰り広げられる、それが本編のギャグよりも優れていると一部の高い評価を集めていることからも確認できると言えるし、もちろん著作権侵害すれすれの体験版などでなく本編でも、ただでさえツンツンしたキャラが多いのに深刻なSFの設定で、どうしても暗く重々しくなってしまいがちな雰囲気を、黒須太一との掛け合い漫才のような具合に一瞬で場を盛り上げ、自前の明るさでシナリオが一本調子になってしまうのを防ぎ、ただ単に田中ロミオ節を発揮するためのキャラクターではなく、一方でシナリオ内で重要な役割を演じながら、シナリオ全体の軽重バランスを整えるという、至極自分勝手に生きている他のキャラクターには真似のできないことを、自称自己愛の人間でありながらやってのけているという、一見矛盾しているかのようにも見えるパラドクシカルな役割を担い、また彼女のシナリオでは総シナリオ中最も残酷なエンディングを迎えながら、そこに救いが感じられるのも、やはり彼女のキャラクター性が作品中に上手く響き、皆の関係がぎくしゃくしているという本ゲームのテーゼと止揚するアンチテーゼとして、彼女の利発さ、陽気さ、親しさが働いていると言えるし、やはり田中ロミオ氏の魂が最も込められたキャラクターとして彼女が存在しているように僕には思えたのである。

 そう言えば、「春琴抄」も文章中に「。」がほとんどないんですよね。メタ的に書いてみるとこんなんなっちゃいますね。