カミュ著「カリギュラ・誤解」新潮文庫

 異邦人がとてつもなく変な作品だったことはうっすら記憶していたけれど、これはなんというか、さすがカミュですなと言わしめる作品ですね。うまく言えないのですが、傑作だと思います。
 僕にこの本を薦めてくれた友人氏はなんでもカリギュラ名言集をオリジナルに作っているのだとか。そうなんです、この本の最大のポイントと言いましょうか、出てくる台詞がめちゃくちゃ格好良いのです。主人公カリギュラは世に絶望した権力者で、彼の口にする言葉の端々にカミュ的世の本質を突いた鋭いセンスの切れ味が光るのです。確かに名言集を作りたくなるほどの。

 「男というものはな、物事があるべき姿にないから泣くのだ」

 しびれますね、正直。
 うまいなぁ。
 日本語訳が上手いんでしょうか、それともカミュのセンスがにじみ出ているのでしょうか、和訳本なのに違和感なくすらすら読めました。なんか、スカッとしたいときにいいかもしれません。これを一生の愛読書にする人もいることでしょう。 

カリギュラ・誤解 (新潮文庫)

カリギュラ・誤解 (新潮文庫)