読書

モーパッサン著「脂肪の塊」岩波文庫

うーん、ストーリー自体が短いためでもあるけど、いまいち。 記憶に残らないような本もありますね……。脂肪の塊 (1957年) (岩波文庫)作者: モーパッサン,水野亮出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1957メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る

シェイクスピア著「ロミオとジュリエット」岩波文庫

素晴らしいの一言に尽きる。電車の中で読んで胸が震えて、もう少しで泣きそうだった。 まず、ストーリーに破綻がない。二人の愛情をエゴイスティックに描くフランス文学において、周囲は単なる背景に過ぎないのだけれども(若干語弊があるかもしれないが)、…

ラディゲ著「肉体の悪魔」光文社新訳文庫

いやはや、面白かった。フランス文学は恋愛を真っ正面から扱うから読んでいてい非常に面白い。 作中に何度も出てくる「愛はエゴイズムのもっとも激しい形」というのがこの作品の要となる概念でしょう。 この作品は「椿姫」と比較すると面白いと思います。「…

リチャード マシスン著「奇術師の密室」扶桑社

何度も何度もどんでん返しがあって面白いです。 要となるトリックは読んでいる最中にわかっちゃったのですが、ラストのkey作品を彷彿とさせる(笑)ハッピーエンドはなかなか爽快でした。 主人公の息子のはったりがナイス。いいキャラですな。奇術師の密室 (…

湊かなえ著「贖罪」東京創元社

出だしはめちゃくちゃ面白い。 陰惨な事件が起こって、それを巡って各々が自身の暗ああい心情をひたすら吐露していく。人間のダークサイドが浮き彫りになって、暗めの小説が好きな人には超おすすめですよ。 しかし、ミステリー的な何かがあるわけではなく、…

館淳一・睦月影郎・北原童夢・田拝聡一郎:編著「作家養成講座 官能小説編 ―ベストセラーH小説の書き方教えます! 」ベストセラーズ

普段ならこの記事の下に楽天かアマゾンのリンクを貼るんですが、どうやらアダルトな商品は貼れないようです。残念賞! 見た目と違ってかなり真面目な内容ですよ。まずは、官能小説とは何ぞやという基礎知識から始めて、官能小説を書くためには、純文学へのス…

鮎川哲也著「黒いトランク」創元推理文庫

とにかくロジック。破綻のない論理的推理過程は見事だが、全編にわたって緻密な推理であるため、目玉が飛び出るようなどでかいストーリー展開はないし、エンターテイメント性は残念ながら皆無である。ロジックが好きな人向けにあるような小説。単なる鉄道好…

デュマ・フィス著「椿姫」岩波文庫

文句なしに面白い。訳が読みやすかった。 古典でこんなにはまったのは久しぶりかも知れない。古典を読むのが久しぶりなせいかもしれないけど、それはともかく素晴らしかった。 ヒロインのマルグリットの華やかさがもの凄く魅力的で、それに対して主人公の駄…

歌野晶午著「絶望ノート」幻冬舎

一部で「デスノート疑惑」が上がっていた本著。少年がいじめの苦といじめっ子への恨みつらみをノートに書きつづっていると、本当に死んじゃった! というお話。 杉江松恋氏がミステリーとして評価していたので読んでみた。確かに、作者は本格ミステリーを意…

浦賀和宏著「萩原重化学工業連続殺人事件」講談社ノベルス

あの男が帰ってきた! 500ページを越えるノベルス作品をたった今読み終えた。震えたぜ! 「記憶の果て」「記号を喰う魔女」「透明人間」あたりの初期浦賀作品がここに蘇った! 素晴らしい! いやー楽しかった。 かなりぶっ飛んだ作品で、とにかくスケール…

中里十著「どろぼうの名人」ガガガ文庫

「いたいけな主人」がすごかっただけに、戻って読んでみたらたいしたことなかったorz 多分これを書いた後で、編集部から「もっと百合を!」って言われたんでしょうね。まあ、多分正しい判断(笑)しめ子さんの絵が素敵です。 [rakuten:book:13066206:detail]

三葉著「身体も心もボクのもの はじめてのSMガイド」一迅社

大ヒット作「30歳の保健体育」の続刊がこれ。 わりと詳しい。 当たり前のことがもっともらしく書いてあってとても面白かった。 しいていうなら「Mの楽しみ」の章はもうちょっと長くてもいい気がするけど、まあ入門書として不備はないだろう。 本当にやろ…

中里十著「いたいけな主人」ガガガ文庫

これはめちゃくちゃ面白かった。ここまで読書行為に引きずり込まれたのも久しぶり。 危なっかしい百合小説で、破天荒な性格の千葉独立国陛下のキャラクターが超魅力的。 いとも簡単に一線を越えて、ライトノベルのレーベルでここまでやっちゃっていいのか? …

真藤順丈著「庵堂三兄弟の聖職」角川

4つの賞を同時受賞して登場した大型新人。ちょっと期待しすぎたせいか、そこまで楽しめなかった。死体再利用の話もまあ面白いけど、下品さを上回る何かがあるわけでもないような気がする。庵堂三兄弟の聖職作者: 真藤順丈出版社/メーカー: 角川グループパブ…

東山彰良著「ジョニー・ザ・ラビット」双葉社

とにかく主人公のウサギが格好良い。ストーリーはわりとどうでもよくて、主人公の名言に震えるべし。きっと男泣きするはず。ジョニー・ザ・ラビット作者: 東山彰良出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2008/12/10メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 13回この商…

伏見つかさ著「俺の妹がこんなに可愛いわけがない3」電撃文庫

本当にこのシリーズには脱帽。面白いを通り越して、素晴らしいとしか言いようがない。 今回はモノ書きを通じておたく世界を俯瞰。プロ作家とはいえ、業界の様子を克明に描き、飽きないようにうまくプロットに取り入れている作者の力量は素晴らしい。 現代の…

伏見つかさ著「名探偵失格な彼女」VA文庫

うーん、やろうとしていることが大仰なわりには使い古されたトリックだし、キャラ萌えすることができればまだ救いようがあったのだけれども、どれも平板的なキャラクターでいまいち盛り上がらない。なんというか、ミステリーとキャラ小説のどちらも手を抜い…

伏見つかさ著「俺の妹がこんなに可愛いわけがない2」電撃文庫

一巻で辞めた人は騙されたと思ってこれを読むべし。色んな意味でレベルアップしている。 早期のコミック化決定も頷けるし、これは今後のメディアミックスで絶対流行ると確信を以て言える。ヒロインのキャラがきつすぎるという意見もあるけど、イマドキは作品…

飛鳥部勝則著「堕天使拷問刑」早川

かなり上級者向けだとは思うんですが、人間の暗部を描き出した壮大なサーガ、広がりまくる伏線と世界観、そして「ひぐらしのなく頃に」の主人公をさらに孤立させ、幻想的な世界に封じ込めたかのような世界に酔いしれましょう。とてもどろどろの作品ですが、…

紅玉いつき著「ミミズクと夜の王」電撃文庫

良著との評判が高い一冊ですが、なんとなく肌に合いませんでした。 ただ単にもっとひねくれている作品が好きなだけなんです。ミミズクと夜の王 (電撃文庫)作者: 紅玉いづき,磯野宏夫出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス発売日: 2007/02/10…

紀田順一郎著「翼のある言葉」新潮選書

我等が偉大なる紀田先生による、古今東西からの名言格言セレクト。 超お勧め。かなり熱いですよ。一部紹介いたします。 ・十九世紀においては神が死んだことが問題だったが、二十世紀では人間が死んだことが問題なのだ。 フロム「正気の社会」 ・人間がすべ…

北山猛邦著「アリス・ミラー城」講談社文庫

世紀の非人道的本格ミステリー。 今のところ、北山作品でダントツに面白かった。 本格ミステリーにかなり思い入れがあるのですね。ひしひしと伝わってきます。 何がすごいって、犯人の動機ですよ。これは脱帽せざるをえない。『アリス・ミラー城』殺人事件 (…

霞流一著「スティームタイガーの死走」角川文庫

バカミスの大傑作。 鉄道ファンの作者が描いたお笑い鉄道ミステリー。 とにかくハチャメチャでスケールの大きい謎が大変魅力的。 全ての真相を知ったとき、ぶっ飛ぶに違い有りません。 めちゃくちゃお勧めです。スティームタイガーの死走 (角川文庫)作者: 霞…

ケストナー著「エーミールと探偵たち」岩波少年文庫

ケストナーは「飛ぶ教室」でも語ったように、文章にものすごくセンスが感じられる童話作家。この作品は見ず知らずの大都会でハプニングに巻き込まれ、不安に苛まれながらも素晴らしい仲間と共に大捕物を繰り広げ、犯人を追いつめるという児童文学の真骨頂と…

木々高太郎「人生の阿呆」創元推理文庫

著者は慶應大学の教授で、かつてパブロフのもとで学んだ心理学者でもある。「人生二回結婚説」などといったユニークな論の展開、頭脳パンの開発などを行ったが、本人は推理小説にも興味があり、「探偵小説芸術論」を実践するために本書を書いた。推理小説業…

遠藤徹「姉飼」角川ホラー文庫

ほとんどタイトル通りの作品。恐いって言うよりも、衝撃的である。 粘膜人間より先に読んでおけば良かったかも。姉飼 (角川ホラー文庫)作者: 遠藤徹出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2006/11/01メディア: 文庫 クリック: 21回この商品を含むブログ (37件) …

香山滋著「海鰻荘奇談」講談社大衆文学館

香山滋は海野十三と同じ系統の探偵小説作家で、SF的なものを得意としております。エログロナンセンスも天下一品。さすが「怪獣ゴジラ」の原作者だけあって、生物学的な知識も作品にふんだんに取り込まれている。 海野十三との違いは、海野は「馬鹿だなぁ!…

ベディエ著「トリスタン・イズー物語」岩波文庫

中世ではトリスタン伝説というのが流布し、さまざまなトリスタン物語が描かれていました。特に有名なのは流布本系としてのベルール版、もう一つは宮廷風恋愛物語系としてのベルール版で、こちらは後にドイツのゴットフリート・フォン・シュトラースブルグや…

ケストナー著「飛ぶ教室」光文社新訳文庫

相変わらず新訳文庫は読みにくい。ケストナーならきっと岩波少年文庫を読んだ方がいいんだろうね。 ケストナーはドイツのセンスある童話作家。ちょっとしたフレーズがものすごく効いてます。クリスマス前に是非どうぞ。飛ぶ教室 (光文社古典新訳文庫) [ エ…

飴村行著「粘膜人間」角川ホラー文庫

髑髏すごいね。 わけわからんし、何でこうなるかさっぱりわからないが、とりあえず面白かった。粘膜人間 (角川ホラー文庫)作者: 飴村行出版社/メーカー: KADOKAWA発売日: 2008/10/24メディア: 文庫購入: 22人 クリック: 611回この商品を含むブログ (65件) を…